女盛りと言われるこの年齢になっても、ついつい鼻をほじってしまうという癖がなおりません。
だけど、他人様に見られてはならないような癖はやっぱり直さなくてはならない。
女らしくあることを目指し、「鼻をほじらずに暮らせるか」に挑戦してみました。



◆2002.09.01
 会社に行く前、会社から帰ってきた後、鼻をほじること。
 これが、この5年間の毎日の日課だ。たまに一日中外にいた日は鼻くそが真っ黒になる。そういう時は、得した気分になったりする。逆に、真っ白な鼻くそがとれた時は、しょんぼりする。
 この日課を今日からやめなくちゃならない。それなのに、朝一番、鏡で鼻の穴をチェックすると鼻毛に鼻くそが思いっきりぶら下がっている。どうしよう。鼻をかむのはOKというルールに急遽変更して、鼻をかんだが、全部は取れなかった。
 やむを得ない。このまま出社だ。女らしさを目指したはずが、まったくの逆効果だ。だけど一度決めたことはやり通す、そんな意志の強い人間であることが大切な気がした。

2002.09.02
 昨日の夜は自分と戦い続けた。「鼻、ほじっちゃおうよ。どうせ誰もこんなホームページ見やしねぇよ」そんな自虐的なことを考えはじめ、次に私の存在意義とはなにか? などというテーマに発展し、あげくにはBe-ingを熟読、転職を決意してしていた。夜は人の心を乱すから嫌いだ。
 そんなに悩んだのに、また朝になると新たな鼻くそが飛び出ている。鼻毛にからみついたそいつは、ちょっとアゴをあげればひょっこり顔をのぞかせる。このまま会社に行ってもいいんだろうか…?
 だけど容赦なく出社時間は迫ってくる。これじゃ化粧をする意味もないのでは、という疑問と戦いながら、いそいで身支度して、鼻くそと一緒に出勤した。

◆2002.09.06
 鼻くそをためすぎるとどうなるか、初めて知った。
 勝手に飛び出してくるのだ。
 いつものようにちょっとうつむき加減でお客様に商品を手渡し「ありがとうございました」の「ました」を言った瞬間、黒いものがレジカウンターに落ちた。まぎれもない、私の鼻くそ。幸い、お客様には気づかれずに済んだが、身体が異変を感じ始めたのかもしれない。「汚いやつがここ最近鼻の穴にくっついているぞ! 全員、攻撃開始ー!」私の脳が出した号令が聞こえた気がした。

◆2002.09.07
 会社に行くのが日に日にイヤになってきた。正直、ちょっとは小洒落た店で働いている店員としてこれはまずすぎる。もしまたお客様の前に鼻くそを飛ばしてしまったら…そんな不安がストレスになっている。
 ストレスがたまる以前に、鼻くそがたまりにたまって満員御礼だ。右の穴にも左の穴にも鼻くそがついている。勝手に飛び出たものや、鼻をかんだ時に飛び出したものをのぞいても、やっぱりまだついている鼻くそたち。鼻くそ界のエリートとも言えるだろう。
 休憩時間、ロッカー室で座って一服していると「最近、あなた落ち込んでいるみたいだけど大丈夫かい」と、初老の店長に声をかけられた。
 「いえ、そんなことありません」と答えかけた瞬間、またしても鼻くそが弧を描いて私の膝の上に落ちた。ハッとして口元を手で押さえたのを見て、泣き出したと勘違いしたらしい店長は「相談ならいつでものるから、遠慮せずにね」と言ってティッシュをおいていってくれた。
 そのティッシュで鼻を思い切りほじりたかった。

◆2002.09.10
 このところ、毎日のように鼻くそが飛び出る。くしゃみなんかした日には両方の鼻の穴から同時に飛び出すなんてこともあるくらいだ。レジカウンターに落ちた鼻くそは数知れない。
 子供のころ、ほじった鼻くそを壁に貼り付けては怒られていた、そんな淡い記憶が急によみがえった。あの時から10年強。まったく成長していないどころか、さらに最悪のことをしている自分を少しだけ嫌いになった。

◆2002.09.11
 起きた時、枕に鼻くそがついていたことがありますか? 私は今朝、ついてました。まだこの挑戦をはじめてから、まだ11日しか経っていないことに愕然とする。基本的にひとつの挑戦は1か月続けるルールなのに、もう限界だ。女として、そして人としての極限。
 …もう、やめよう。
 ティッシュを使ってお上品に、なんてことは、今はしたくない。指を直に鼻の穴につっこむと、これまでに見たことのない大物が取れた。写真を載せたいくらいだけれど、この企画の当初の目的「女らしくなること」とあまりにも一致しないのでやめておく。
 結局、小心な私。


ふたりでいつでも悪ふざけ


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